河竹登志夫先生と堀多恵子さん
いま、日本経済新聞の「私の履歴書」に演劇研究家の河竹登志夫先生が執筆されています。河竹先生は学生時代に授業を受けたことがあり(といっても大教室での一般教育科目だったですが)、わかりやすい語り口を憶えています。
その先生の「履歴書」なので興味を持って読んでいたところ、幼いころに坪内逍遥に頭をなでられたという記述に、びっくり! 坪内逍遥といえば、日本の近代文学、近代演劇の祖といえる人ですが、私にとってはまったくの文学史上の名前です。その人に頭をなでられた方が、私の目の前に立っていたとは。。。
時代はつながっているというか、坪内逍遥が思いのほか身近というか、「明治は遠くなりにけり」という言葉がはやったのは昭和40年代だと思いますが、意外に明治も近い、と思ってしまいました。
それと同じような感慨が、堀多恵子さんの死去の報。堀多恵子さんは作家・堀辰雄の妻です。堀辰雄というと、私が河竹先生の授業を受けていたころにずいぶんと読みました。昭和28年に49歳で亡くなっているので、坪内逍遥とは違いますが、私にとっては、やはり文学史上の作家です。
堀多恵子さんの存在は「妻への手紙」(堀多恵子編)で知りましたが、二人の関係のすがすがしいというか清冽な印象を憶えています。その堀多恵子さんが先月亡くなったのですが、報道を見たときに、失礼ながら「ご存命だったんだ」と驚きました。
中野重治や神西清と同世代で立原道造や福永武彦の先生のような存在、室生犀星や芥川龍之介とも直接交流のあった人の妻ですからね、ちっとも現実感がありませんでした。その方が、ついこないだまで信濃追分で生活していらしたんですね。
文学の世界のつながりというか、過去と現代を感じてしまう、ふたつのエピソードでした。
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